子育てなど10年間のブランクを経て、フルタイム復帰。外資系勤務から、医療・子ども支援に

2022
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太田英梨
認定NPO法人ジャパンハート
経営戦略室・管理部
太田英梨

外資系の消費財メーカーやインフラ企業など大手企業に勤務した後、子育てがメインの生活にシフト。
フルタイム勤務の仕事としては約10年間のブランクを経て、認定NPO法人ジャパンハートに就職された太田さん。
キャリアを選ばれた理由や現在のお仕事、これまでの仕事とのギャップや今後やりたいことなどお伺いしました。

「社会的な意義のある仕事をしたい」思いきって始めた就職活動

ーさっそくですが、お仕事を始めたきっかけを教えていただけますか?

私は結婚してから海外赴任した夫に付き添ったり、子どもが生まれては子育て中心の生活を送ったりと、フルタイムの仕事からしばらく遠ざかっていました。
その合間に、翻訳などの仕事を在宅でしていたのですが、「子育てがひと段落したら仕事に復帰したい」とずっと願っていました。

そんななか、コロナ禍を機に夫が在宅勤務メインになり、息子との時間や家事にも今まで以上に時間を使ってくれるようになったんです。
「私が働きながらでも、家庭は回るはず」と気づいたら、「30代最後の歳だし、やりたいことにチャレンジしよう!」と。

夫にも後押ししてもらい、2021の3月頃から就職活動を始めて、5月にジャパンハートに入職しました。

ーどうしてNPOを選ばれたのでしょう?

元々、ボランティアやチャリティ活動には、携わっていました。
大学時代は国際交流キャンプでスタッフをしましたし、米国に短期留学していた時にボランティアをしたことも。

Give Kids The World Village」といって、難病の子どもとご家族を1週間、フロリダの施設へ無償で招待して、ディズニーランドで遊んだり、サンタクロースからプレゼントを渡したり、と夢のような時間を過ごしてもらう、という活動でした。

楽しそうにしている子どもたちを見るのが嬉しかったし、私の方が幸せな気持ちをもらいました。

米国の大学に短期留学していた頃、ボランティア活動で

シンガポールに住んでいる頃に東日本大震災が起きたので、友人とチャリティイベントをして寄付を送ったことも。
子どもが生まれてからも、生協の地域委員や学校の読み聞かせボランティアなど、社会とつながる活動を続けてはいました。


ーそれでしたら、NPOは就職先として早くから意識されていたのですか?

いえ、それが全然そんなことなくて。
学生時代も社会人として働いている頃も、「働く場所と、社会貢献は全く別モノ」と捉えていました。

新卒の就職活動でも転職をした時も、受けたのは企業だけでした。

今回改めて就職先を考えた時、「元々いたような大きな会社に戻って、マネジメントなどバリバリと働くのは、10年近くのブランクがあるなか難しいだろうな」とも理解していました。
かといって、パートタイムや派遣などの仕事もピンとこない・・

どうせなら、やりがいのある仕事をしようと。
「やりがいって、私にとってなんだろう?」と考えた時、「社会的な意義のある仕事」をしたいなと。

現在は夫が家計を支えてくれていて、チャレンジできるありがたい環境のなか、NPO法人や社会的企業を中心に求人を探していました。


人事労務を担当。「経営管理」や「財務分析」の経験も活かせた


ージャパンハートさんは、どうやって見つけられたのですか?

初めは転職エージェントにも登録したのですが、NPOや社会的企業となると、求人がなかなか見つからなくて・・
元々知っていたNPOの公式サイトも調べたのですが、アルバイトやボランティアなどの募集は出てきたものの、正職員の求人情報には出会えませんでした。

ジャパンハートは、登録していた求人サイトで偶然に発見。
たとえばカンボジアの小児がん患者が無償で治療を受けられるようにするなど、途上国の子どもへ医療も行っています。

「子ども」や「医療」といったテーマも、学生時代の難病の子ども支援のボランティアで経験したことや、子どもが産まれてから「子ども支援に携わりたい」と願うようになっていたことと重なりました。

職種も「経営戦略スタッフ」ということで、「企業に勤めていた頃のキャリアを活かせそう」と応募しました。

他のNPOや企業さんを受けたなかでは、書類選考や面接で落ちたことも何度かあったのですが、トントン拍子で面接が進み内定をもらいました。

自主保育サークルで、お子さんとの歩き保育


ー現在は、どんな業務を?

主に人事を担当しています。
職員の採用を強化しているので、求人媒体との窓口や求職者の書類選考、面接の調整など。団体全体の「社員総会」のようなイベントの企画運営、ビジョン/ミッション/バリューの浸透のための会議など、インナーコミュニケーションも担当させてもらっています。

最近は労務の仕事も一時的に引き継ぎ、「雇用契約書」や「産育休制度」などにも守備範囲が広がりましたが、初めてのことだらけで必死にキャッチアップしています(苦笑)
入職の手続きや入職3ヶ月後の面談などいわゆる「オンボーディング」にも携わらせていただいています。

ー企業に勤めていた時のキャリアは生きていますか?

人事や労務は未経験なので、直接には役立てられてないかもしれません。
ただ、「数字を分析する」「ロジカルに考える」という面では新卒で入った消費財メーカーで重要視されていたところなので、活かせているところもあるかと思います。

新卒では「経営管理(Finance)」という職種で、プロジェクトへの投資検討にあたってNPV(正味現在価値)といった指標を計算したり、キャンペーンのROIを分析したりと、いわゆる財務分析を担当していました。
転職したインフラ企業では「プライシング」の担当で、石油の価格を市場の需給など分析しながら調整する仕事をしていました。

これらと比べると全く異なる分野ですが、たとえば採用でも、応募者や競合のNPOを分析することで、施策を検討したりしています。

「正解」が見えてない未知の分野も、仮説を立てて数値に置き換え、結果を振り返って投資を判断していく、という仕事の進め方は非営利セクターでも通じるところはあるのかなと、安心したこともありました。


ー逆に、勝手が違ったりギャップを抱いたところは?

とにかくスピード感が早いことです。

ジャパンハートは、年間収入が約9億円(2020年度)と大きくはないですが年々成長していて、いわゆる「ベンチャー」にあたるかもしれません。
現場で臨機応変に、意思決定していくのが特長です。

私が勤めていたのは大企業でしたし、商品の開発から販売までの期間が数年間に及ぶ、長期間のプロジェクトが主でした。
投資額も1億円単位と大きかったので、リスク評価や収益性の計算など厳密に行っていました。

私としては、違いにとまどう部分もありますが、新たに自分が学べる点でもあると考えています。


多様なバックグラウンドの人たちが、働きやすい組織づくり


ー今の仕事のやりがいを教えてください。

皆さんおっしゃるかもしれませんが、受益者の方の役立っていることが、直接に見えることでしょうか。

先日に日本の小児がんの子どもを持つご家族をキッザニアに連れていく活動に同行させてもらいました。
ご家族から、「付き添っていただいたことで、家族皆がとても楽しい時間を過ごすことができた」というようなご感想をいただきました。

普段は人事ということで「間接部門」の仕事をしていますが、その先につながる受益者の方々の喜びがわかると、やりがいを感じます。


ー10年ぶりのお仕事ですが、働きやすさはいかがですか?

定時の時間を前にずらす形で朝8時から16時まで、またコロナの影響もあり週に3回程度はリモートワークで働いてます。
残業も時々はありますが、夫にも協力してもらいながら、無理のない範囲で調整させてもらっています。

ただ人事や労務の担当として分かったのですが、特に「現場」にあたる事業部門のスタッフは、やはり緊急時の支援や受益者の対応などもあるので「いつも定時」という訳にはいきません。
現場スタッフの大変さをフォローしきれないことに歯がゆさを感じることもありますし、「みんなが働き続けやすい組織をつくっていきたい」と強く思うようになりました。

ー最後に、これから取り組んでいきたいことがあれば、教えてください。

ジャパンハートは、現在は日本スタッフが30人程度ですが、事業規模もスタッフ人数も年々増えてきました。
おかげさまで社会からも注目をいただき、もっと大きな組織に成長していくのを求められていると感じます。

一般的にスタートアップのNPOやソーシャルベンチャーは、共感して集まった人々の強い想いがエネルギーとなって、同質性の高い組織で大きくなっていきます。
一方、ある程度の規模に成長すると、年齢や性別などバックグラウンドは異なる方々の能力を活かすことが大事になるはずです。

なので、働き方も「多様性」を求められるし、組織としても受け入れたり寄り添うことがもっと大事になるなと。

私自身は「子育てのブランク」や「外資系大企業に勤務」など、今までに在籍していたスタッフとは年齢や働く場所、過去のキャリアなど異なる部分も小さくないかもしれません。

人事の担当として、ビジョン/ミッション/バリューはじめジャパンハートの軸を、私自身がもっと理解していき、組織にも浸透していくこと。
そのうえで、多様なバックグラウンドを持つ方々を採用して、組織のなかでも働きやすくすること、それぞれの個を活かし活躍できるような環境を整えていくこと。

これから両面で、取り組んでいきたいです。


経歴
  • 2006年 上智大学法学部卒
  • 2006-08年 P&Gファーイーストインク(現:P&Gジャパン)
  • 2009-11年 米系石油会社(シンガポールにて)
  • 2011-21年 帰国・出産・翻訳業務など
  • 2021年〜 認定NPO法人ジャパンハート

※ご所属や肩書きは、記事公開日時点の情報を掲載しております

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