NPO/NGOの仕事内容は?働くには?

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NPOやNGOなどの非営利団体ではどんな仕事をしているのか、気になりますか? 就職・転職サイトを見ても非営利団体の求人は載っておらず、実際の仕事がイメージできない方も多いかと思います。 この記事では、NPO/NGOへの就職・転職の方法や仕事内容、年収など、気になることについて実際にNPO/NGOで働いた経験からわかりやすく解説します。

非営利団体での仕事内容

NPOは「Non-Profit Organization」の略です。
その名の通り「Non-Profit(非営利)の団体(Organization)」で、営利を目的としない組織のことです。
NGOは「Non Governmental Organization」の略で「非政府組織」と訳され、国際的な活動に取り組む団体を指すことが一般的です。
NPO/NGOと企業の大きな違いは、活動で得られた利益を社員や株主などに分配せずに、社会貢献や社会課題の解決などに使うことです。

1)現場で活動する

NPO/NGOともに日本国内や海外の現場での活動があります。
国内で現場をもつNPOは、たとえば以下のような活動をしています。

  • 子ども向けの教室運営(学習支援、スポーツ・文化活動など)
  • 障がい者向けのサービス提供
  • 植林などの環境保全
  • 被災地での緊急支援

海外で現場をもつNGOの活動例として、以下があります。

  • 難民となった人たちへの食糧支援
  • 貧困家庭や子どもの教育支援
  • 病院やクリニックの運営
  • 紛争・災害などの緊急支援

NPO/NGOの現場では、以下のような業務を担います。

  • 国内の活動:現場でのプロジェクト企画・運営、事業所のマネジメント
  • 海外(主に開発途上国):駐在員としての事業マネジメント

2)現場を支える本部(事務局)の業務

NPO/NGOの現場で事業を運営するには、本部(事務局)の業務が不可欠です。
本部の業務には、以下のような仕事があります。

  • 寄付を集めるファンドレイジング
  • 支援者への活動報告レポートなど広報の仕事
  • 会計・人事・総務などの管理業務

企業と違い株式を発行して資金を調達することができない非営利団体では、寄付や助成金、事業収入が主な収益源です。
そのため、現場で活動するために寄付などの資金を集める「ファンドレイズ」は本部の大事な役割のひとつです。

企業での経験を活かせる本部の業務

本部での業務は、一般企業での経験を活かすことができます。
ファンドレイズは非営利団体の特徴的な業務ですが、資金を集める手法としては、ウェブ広告などのデジタルマーケティング、SNSやイベント企画による広報業務もあります。
そのため、企業でのマーケティングや広報の経験が活かせます。

会計・人事・総務などの管理業務も、企業での経験が十分に活用できるでしょう。
社会貢献したいけれど、現地での活動は難しいとお考えの方にもおすすめです。

【実例】NPO職員の仕事内容と働き方・1日の流れ

ここからは、国際協力NGOで事務局長として働く筆者の経験をもとに、仕事内容や1日の流れをご紹介します。

ある1日の流れ

時間 タスク
09:00
勤務スタート
  • メールやグループウェアのチャット確認と返信
9:45
  • オンラインでチェックイン*1
10:00
  • 代表との経営会議
11:30
  • 広報チームとの打ち合わせ
  • オンラインイベントの企画会議
12:00
  • ランチ休憩
13:00
  • インターン生の採用・配置計画を作成
  • インターン生や職員との定期面談
14:00
  • アフリカに出張中のスタッフと打ち合わせ
  • プロジェクトの進捗確認やトラブルシューティング
16:00
  • 講演会のスライド作成、プレゼン準備
16:30
  • 寄付キャンペーンの立案準備
17:30
  • 企業連携の提案書を作成、CSR担当社員に送付
18:00
退勤
  • 明日のタスク確認

※筆者が働くNGOでは、リモートワークを標準の働き方としています。
※子育てをしながら働くスタッフがいることや、スタッフのライフワークバランスを大事にするために原則として残業なしです。

NPO/NGOで働くやりがいとは

筆者が働くNGOはスタッフが5名、インターン生が7名ほどの比較的小さな団体のため、一人のスタッフが幅広い業務を担います。(*2)
大企業からNGOに転職してきた筆者は、経営・財務、広報・資金調達、人事まで携わる業務の広さに最初は驚きましたが、新しいことにチャレンジしながら成長できることがやりがいのひとつです。

同じ目標に向かう「仲間」と協働できるのも魅力

非営利団体の活動は、さまざまな関係者が運営を支えています。
団体内だけでもインターン生やボランティア、理事など多くの人たちが関わっています。
また、寄付者・協力企業・行政といった団体の活動を応援する人たちとともに、より良い社会を目指すため知恵を出し合いながら協働できるのも、NPO/NGOで働くやりがいです。


*1)オンラインチェックイン=朝礼のようにオンラインでスタッフが集まる場。今の自分の状態や気持ち、近況報告、今日1日の業務の流れを1人ずつ話す。
遠隔でもチームワークや相互理解を醸成するのが目的。

*2)規模の大きなNPO/NGOでは、広報・資金調達・現場マネジメント・総務など、業務ごとに細分化されたチームに配属されることが一般的。

NPO職員と企業従業員の「働く理由」の違い

NPO/NGOと企業で働く人とでは、「働く理由」に大きな違いがあります。
下のグラフを見ると、企業従業員の働く理由として上位にランクインするのはこちらです。

  • 生計・家計を維持するため
  • 将来に備えて貯蓄するため
  • 自分の自由になるお金を得るため
  • 働くのは当然だから

一方で、NPOで働く人の理由として、多い順に以下が挙げられます。

  • 社会のために貢献したいから
  • いろいろな人や社会とのつながりをもちたいから
  • 自分の能力や可能性を試したいから
  • 仕事を通じて達成感を得たいから
出典:NPOにかかわる若者の働き方と仕事観(第一生命経済研究所)

「社会のために自分を活かしたい」が働く原動力に

この結果から、企業従業員の働く理由には収入を得て生活を維持することが多い一方で、NPO職員は社会への貢献や他者とのつながりといった利他的な理由や、自己成長が理由の多くを占めていることが分かります。

誰かの未来を応援できるやりがい

筆者も外資系の証券会社から、アフリカで取り残された子どもたちに支援を届けるNGOに転職しました。
収入は減りましたし、団体の財源も大企業のように潤沢ではありません。
けれども、子どもたちが「将来の夢を見つけたよ」と嬉しそうに教えてくれる姿や、シングルマザーで苦労してきたお母さんが「自分に自信をもてるようになりました」と誇らしげに語る姿に出会い、誰かの未来を応援できる仕事にやりがいを感じています。

(参考)大手メーカーやリクルートを経て、NPOに転職。事業企画のスキルで、弱い立場に置かれた方々の力になりたい

NPO/NGOで働くには?

「NPO/NGOで働いてみたい」と興味をもたれた方もいるかもしれません。
就職・転職サイトにNPO/NGOが掲載されることはほとんどありませんし、多くの団体では定期採用をしていません。
けれども、ポイントさえ押さえておけばNPO/NGOへの就職は難しくありません。
ここからは、NPO/NGOへの具体的な就職・転職活動の方法をご紹介します。

就職・転職活動の方法

NPO/NGOの就職・転職情報は、非営利団体の求人を得意とするサイトに掲載されることが多いです。
いくつかご紹介します。

  • activo(アクティボ)
    ・ボランティア情報を中心に、副業人材やインターン、プロボノ(スキルを提供するボランティア)の求人を掲載。
    ・本格的にNPO/NGOで働く前に、非営利団体の活動に関わってみたい人向け。
  • JICA Partner
    ・国際協力NGOの求人が充実している。
    ・イベントやセミナー情報も掲載されるため、NGOで働く人の生の声を聴けるチャンスも。
  • 世界を変える、未来を創る仕事に出会う求人サイト DRIVEキャリア
    ・NPO/NGO・ソーシャルベンチャー・スタートアップの求人に特化した求人サイト。
    ・非営利団体のなかでも先進的な取り組みをしている団体が掲載されている。

学歴や資格は?

学歴よりも社会人経験が求められる

学部卒以上を求める求人もありますが、NPO/NGOでは学歴よりも実務経験が問われます。
少なくとも2〜3年程度の社会人経験があり、基本的なビジネススキルが備わっていることが求められます。新卒スタッフをこまやかに育成する人員を配置できるNPO/NGOは限られているためです。
また、募集業務によっては経理やマーケティング、広報などの業務経験があるかどうかをチェックされます。

求人によっては資格が有利になることも

募集業務によっては、歓迎される資格があります。

  • 日商簿記などの経理事務資格→経理や会計などの管理業務
  • 英語資格(TOEIC、TOEFL、ILTSなど)→海外とのコミュニケーションが必要な業務
  • コーチング資格→採用や人材育成などの人事業務
  • 認定/準認定ファンドレイザー→資金調達やマーケティング業務

履歴書に書いておいた方がいい経験は?

応募するNPO/NGOに関わる経験があれば書きましょう。ボランティアでも構いません。
たとえば、

  • 子どもの学習支援NPO:家庭教師やワークキャンプなど、子どもと関わった経験
  • 国際協力NGO:開発途上国での業務経験やボランティア経験

また、NPO/NGOの採用では、応募者が団体の「ミッション・ビジョン(理念・実現したい社会像)」に共感しているかどうかも大事な審査の基準です。
団体のホームページをよく読み、応募者自身の原体験や思いに触れながら「なぜその団体で働きたいのか」をしっかりと書きましょう。

未経験でも採用される?

NPO/NGOで働いた経験がなくても、企業での経験やスキルがあれば採用されます。
未経験の場合は、求人サイトから正式に応募する方法のほかに、ボランティアやプロボノとして興味があるNPO/NGOに関わってみることをおすすめします。
JANICのNGOセンサス2019 調査結果報告 では、内部採用ルートとして「インターン・ボランティアから採用」「関係者からの紹介」が多くを占めています。

データ出典:NGOセンサス2019 調査結果報告

NPO/NGOの平均年収はどれくらい?

NPO/NGOでの年収が気になる人もいるかもしれません。
「ソーシャルセクター組織実態調査2017」というアンケート調査によると、一般職員の平均年収は339万円。
一般中小企業の平均年収と比べても遜色ありません。
詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

(参考)【NPO/NGO】非営利団体の給料・平均年収はいくら?

NPO/NGOと企業の仕事には共通点もある

いかがでしたか?
NPO/NGOには特徴的な「働く理由」や採用ステップもありますが、企業と共通する業務内容も多くあります。
ボランティアや寄付者など、さまざまな関わり方があるのが非営利団体の魅力です。
NPO/NGOでの仕事に興味がある方は、気になる団体を探してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
小島 美緒

大学卒業後ウガンダでエイズ孤児の支援事業に携わった後、外資系証券会社に3年勤務。その後、社会人メンバーとして活動していた(特活)エイズ孤児支援NGO・PLASに職員として参画し、現在は事務局長理事。2人の息子の子育て中。国際協力NGOとライティングの仕事の傍ら、地元の練馬でまちの居場所づくりを手掛ける。皆様にお役に立てる記事をお届けしたいです。

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