企業からNPO/NGOに転職したい人が知っておくべき5つの注意点

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「いつかは社会貢献できる仕事に」と一般企業で経験・キャリアを積んでからNPOに転職をはたす人も多くいます。 全く異なる分野にきてカルチャーギャップを感じることもありますので、今回は経験者の視点から注意していただきたい点をまとめました。

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目次

企業からNPO/NGOへの転職は難しい?

結論から言えば、企業からNPO/NGOへ転職することは珍しくありません
むしろ、いちど企業で働いたことがあるNPO/NGO職員の方が多く、新卒からNPO/NGOに入る人はまだまだ珍しいです。
もちろん、行政や専門職、資格職の経験者もいますが、一般企業での経験はNPOから望ましいと捉えられている印象があります。

第4回NPO法人の人材のマッチングに関する調査(2019)

上記調査からも分かるように、NPOに関する知識や経験より、意欲と熱意、そして活動分野に関する専門知識が重視されます。

意欲と熱意については、「想いがある」ことは前提のうえで、その社会課題について好奇心を持ってある程度調べて議論できるか、何かしらの行動を起こしているかを見られる可能性があります。
「活動分野の専門知識」も重視されますが、実際の募集要項を見てみると、福祉や環境といった社会課題における専門性を見られることもあります。

また、一般企業での経験が活かされる「マーケティング、IT、営業、会計などの専門知識・経験」が求められる募集職種も多くあります。
NPO業界で働いた経験よりも「社会人経験3年以上」といった基準を示しているポストが多いのは、一定の汎用的な業務経験が求められるからです。

上記のことから、一般企業からの転職は難しくなく、それまでの経験を活かすことができる一方で、何らかの社会貢献活動に対する行動はしておく方が転職でも評価されやすいと言えます。

NPO/NGOへの転職で知っておくべき5つの注意点

企業とNGO、NPOを経験し、またさまざまなNPOと関わってきた筆者の視点で、注意点を挙げたので、転職前にぜひご参考にしてください。

ただし、NPO/NGOと一言で言っても、規模や歴史、組織風土もさまざまです。
あくまでも傾向としてイメージしていただければと思います。

(参考)経験者が語る「NPO転職への5つの不安は解消できる」

1)大企業との同水準の給与は期待できない

給与面は、もしあなたが大企業レベルの給与を望んでいる場合は、同水準は期待できない可能性が高いです。

もし、給与を下げたくない場合は、公務員や国際機関などの方面から社会貢献の仕事を目指すのも一案です。
ただし、企業より副業しやすいので、二足の草鞋を履くなどして自分自身のスキルを高めながら収入増を図ることは可能でしょう。

2)やりがいに過大に期待しない

一般企業からNPO/NGOに転職を希望している方の中には、「社会のために」という崇高なミッションに惹かれている人が多いと思います。

もちろん、ミッションが団体の存在意義ではありますが、人間同士の組織ですので、しらがみがあったり、いろいろなタイプの人がいたり、面白くない仕事があったりと、一般企業と同じような難しさも多々あります。
それでも大きなミッションを目指していく意欲があるのか否か、一度自分に問いかけてから転職するのがいいのではないでしょうか。

3)柔軟性が求められる

職務分掌や組織のルールがそれほど明確でなく、社会や支援対象者の状況に応じて活動が変化するなど、一般企業よりも柔軟性が求められる傾向があります。

特に注意が必要なのは、採用時の募集要綱に記載されていた職務とは違う業務に対応しなくてはならなかったり、業務が変化していく可能性です。
「〇〇の業務だから応募した」などあまりにこだわりが強い方だと、後悔してしまう可能性もあるので、団体のミッションのためにはある程度さまざまな業務に取り組むという気持ちも必要です。

4)自主性が求められる

特に小規模なNPOや新しいNPOの場合は、企業での環境に慣れているとカルチャーショックを受けるかもしれません。

人的リソースが足りない中で全職員が考えながら行動している団体が多いので、丁寧な説明やマニュアル、整理されたプロセスを期待しているとがっかりしてしまいます。
(人によってはそれに不平不満を言う人や、逆に無理やり改善を図ろうとしてしまう人も。)

もし、NPOと関わった経験がない場合は、まずはボランティアから始めてみて自分に合うかどうか確認する方がいいでしょう。

5)年齢にとらわれないフラットな環境

一般企業で40、50代になって役職に就いていると、細かいことや現場のことは若手社員が対応してくれるなど、年齢によって働き方や関わり方が異なっている場合があります。

一般企業では無意識でも年齢による立ち振る舞いが身についているものですが、NPOは想像よりもフラットな場合が多いようです。
ある程度の年代の方が企業のイメージのままでNPOに転職すると、戸惑う、または他の職員から敬遠されることもあるので、念のため注意してください。

NPO/NGOにおける転職先の探し方・見つけ方

では、NPO/NGOといった転職先はどうやって見つければよいのでしょうか?
基本的な就職活動の流れは、一般企業と変わらず、募集サイトから応募することができます。

ただし、人づての採用やボランティア/プロボノを経てその団体で採用にいたるケースも多々あります。

1)専門の採用情報サイト

以下のサイトに採用情報が掲載されています。
それぞれのサイトで、注力分野が違いますが、まずは一通り見ておくと視野が広がります。

本サイトFunDioでも求人情報を掲載しているので、ぜひチェックしてください!

2)一般の採用情報サイト/エージェントで探す

一般の求人サイトやエージェント(人材紹介会社)でも探すことができます。
NPO/NGOだけでなく、社団法人や財団法人、独立行政法人などの法人格の団体も多い印象ですが、それらも非営利関係の活動が含まれるのでチェックしてみてください。
特に企業のサステナビリティやCSR担当、またソーシャル色の強い企業も含めて探したい場合は、積極的に利用するとよいでしょう。

ただし求人サイトもエージェントも企業の求人がメインであるため、NPO/NGOの案件の数は限られます。
またエージェントを利用する場合は、専門外の分野かつ給与が比較的高くない分野のため、積極的にサポートしてもらえないケースも少なくないようですので、気をつけましょう。

3)転職先の候補となる団体の公式サイトやSNSをチェック

上記のような媒体に掲載せずに募集している場合もあります。
関心ある分野の団体のホームページやSNS、メルマガなどをチェック
するようにします。

また、特に関心がある団体の場合は、ボランティアをしたり、話が聞きたいと面会を依頼することもできます。
さらには、公募はしていなくても人材を探しているケースや、ぴったりの人がいれば雇うことができるというケースもあります。

働きたい団体が絞れてきたら、すぐに応募する事もできますが、できればそのNPOが開いている説明会に参加してみましょう。
採用説明会だけでなく、活動報告会やボランティア説明会などさまざまな形で活動を知ったり、職員の声を聞く機会があります。

大きな決断になりますから、ミスマッチを防ぐためにも、まずはボランティアなど何らか関わりを持っておく方が安心です。
就職活動方法については、こちらの記事でも解説しています。ぜひお読みください。

(参考)NPO/NGOに就職したいけど不安のある方へ 注意点や選び方・採用の流れ

最後に…

NPO/NGOでの仕事に興味を持ったら、まずは寄付でもボランティアでも関わりの一歩を踏み出してみることがオススメです。

仕事や雰囲気への理解をより深めることができますし、何よりもそこでの経験が実績として認められたり、そこで得られた人脈から仕事につながることも大いにあります。
NPO/NGOでは、ボランティアの門戸が大きく開かれている場合がほとんどです。

初めてでも気兼ねせずに、まずは一歩踏み出してみましょう!

この記事を書いた人
牛堂 望美

人材系のベンチャー企業、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、金融機関でのCSR/サステナビリティ担当などを経験。NPOを支援する中間支援業務に携わり、多くのNPOと接してきました。NPOと企業の両方での社会貢献業務の経験も活かして、社会貢献を仕事にしたい方への情報発信やご相談にものってきました。社会貢献を仕事にしたい方たちへ、多様な関わり方があること、自分に合った関わり方があることをお伝えしたいと思っています。

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