NPO/NGOに就職したいけど不安のある方へ 注意点や選び方・採用の流れ

2022
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社会貢献できる仕事がしたい、NPOやNGOへの就職に興味があるけど、大企業や株式会社と違って将来の法人の存続や給料面ってどうなんだろうと心配になってしまうこともありますよね。非営利だからお給料も少なく、生活していくのが難しいんじゃないかというキャリアのご相談をいただくこともあります。

実際どう?非営利団体で働くことのメリット・デメリット

そもそもNPOはNon Profit Organization=非営利組織ということで、お給料が出るの?という疑問を持つ方もいますが、ここで言う「非営利」とは「利益を目的としない」「利益を配当しない」ことです。
なので、お給料はもちろんボーナスを出すことも、事業を通して利益が発生することも問題ではないのです。

近年はNPOであっても、お給料を増やしていこうとする団体や、きちんと収益を確保する意識が高まっている傾向もあります。
同時に、企業であっても社会課題の解決を目的をするスタートアップなども増えており、ますます企業とNPOの差は縮まっています。

とは言っても全体的な傾向はあるため、キャリアや収入の「安定性」の観点からメリット・デメリットをまとめてみました。

メリット デメリット
  • やりがいが得られて仕事へのモチベーションが高まる
  • リモート、フレックス、副業などの柔軟な働き方を得やすい
  • 営利企業より給料が低い傾向
  • その後の転職で企業に戻りづらい

まずメリットとして、社会貢献のやりがいがある、一緒に働く人のモチベーションが高いなどの面で仕事へのモチベーションが高まります
仕事へのモチベーションは、自身の成長やキャリアの安定にも繋がります。
また企業に比べ、組織が小規模であったり、ダイバーシティを重視している団体が多いため柔軟な働き方を奨励していたり、そうでなくても企業より交渉する余地が高いと言えます。

一方で、営利企業より給料が少し低い傾向もあります
また、その後のキャリアで一般企業に戻りたいと思った時には、企業経験が長い人よりは転職しづらい可能性も高まります。
なぜNPOに行き企業に戻るのか、NPOでの経験が企業に活きるのかなど、企業人からすると想像しづらいこともあるかもしれません。

私自身にとってNPOで働く一番のメリットは、自分の関心がある社会課題に取り組むこと自体が仕事になるという点です。
片手間ではなく、生活やキャリアにおいて一番にそのことに取り組むことができるというのは、大きな満足感につながります。
たとえ、途中で転職したり、取り組む社会課題に変更があったとしても、社会課題に取り組むこと自体が長期的なキャリアの安定につながるのではと考えます。

それでも、直近の不安がある場合は、副業として取り組むなどの手段を検討することも可能です。

(参考)「NPOに転職した私が、副業を3年間続けて良かったこと。後悔していること

年収・給料はどう?昇給はあるの?

NPOなどの非営利団体でも、無償のボランティアだけでなく、有給職員が働いている団体も多くあります。
そして、実際にNPO代表の方々から「うちは、一般企業と見劣りのない給料を出すことにこだわっている」「給料を上げることを決めた」という話も聞くことがあります。
経営努力によって、人材の質を高めることで社会課題の解決をより推進できるとともに、社会課題に取り組む人の経歴や働きに対して、正当な額を払う大切さが背景にあります。

「ソーシャルセクター組織実態調査2017」より

たとえば、NPO法人新公益連盟による「ソーシャルセクター組織実態調査2017」では、新公益連盟に加盟する44団体によるアンケートでNPOの平均年収を出していますが、中小企業の平均年収よりも高いことが示されています
ただし、本調査は対象が新公益連盟に加盟している意欲的なNPOに限定されています。
そのようなNPOを希望する人は前職が大企業等で給与が高い人も多く、NPOへ転職することで給与が一気に下がるという話もよく聞きます。

さらに、上記調査では、比較対象が中小企業のみであることを考えると、やはり全体の傾向としてはNPOは企業よりも給料は低い傾向があると考えた方が安全です。
昇給やボーナスがある団体もありますが、全体として大きな期待はしない方がいいかもしれません。

ただし、これらは現時点での傾向であります。
NPO業界でも報酬に対する意識が変わってきており、実際に過去よりも給料が高まっていることや、社会全体としてSDGsなどの社会課題への意識が高まっている背景を考えると、将来はますますNPOと企業の差は縮まることも予測できます。

そもそもNPOの給料ってどこから出るの?という方はこちらの記事をチェックしてください。

(参考)「NPOの給料はどこから出る?決め方や平均年収、仕組みを5分でチェック

法人・団体の存続は?解散したらどうなるの?

NPOなどの非営利団体であっても「雇用」をする場合は、企業と同じように法律を順守する必要があります。
そのため、最低限の雇用の安定は企業と同じように守られていると考えてもいいでしょう。
私が所属していた団体でも就業規則が定められ、勤怠管理がなされ、産休や育休を取得している人ももちろんいました。

一方で、企業と同じく解散もあり、比率は少ないですが破産という理由もあります。
内閣府のNPOポータルではNPO法人解散数のこれまでの累計が載っていますが、解散理由で多いのは「社員総会での決議」となっています。

また、正職員ではなく契約職員で採用し、毎年契約更新を行う形を取っているNPOもあります。
実際に、あるNPOでは組織・事業の見直しにより、契約の打ち切りを一部の職員にお願いしたという例もあります。
ただ、キャリアやスキルアップに勤めていた人であれば何らか次の職場が見つかるなど、多少のブランクは出来ても道は拓けていく印象もあります。

転職やその後のキャリアは?

NPOで働いた後の転職やキャリアに困らないかと考える方も多いと思います。
結論から言うと、可能だと考えます。
私自身が非営利団体から企業のCSR/サステナビリティ担当に転職しましたし、特に最近は企業もサステナビリティやSDGs、エシカル消費といった社会貢献性を重視しているので、非営利団体から転職の話も聞きます
もちろん、もともとの専門性を活かした一般の仕事(営業やマーケティングなど)に戻る人もいます。

ただし、もちろん誰でも企業に戻れるかという訳ではなく、たとえば具体的に説明できる成果を残している、高い専門性を示すことができ、しかもそのスキルや経験を企業側が求めている採用案件の場合に限り、NPOでの経験もキャリアとして活かすことができます。

組織ごとの違いに目を向けよう

このようなNPOでの状況があり、企業と違う面もあります。
しかし、私の経験からすると、企業とNPOの違いよりも組織ごとの違いの方が大きいと考えています。

たとえば無償ボランティアのみで構成されるNPOから、有給職員を多数抱え企業並みの給与を出せるNPOもあります。
また、NPOにも大きな組織や何十年の歴史がある団体もあり、一番の特徴である「やりがい」を見失っている職員などももちろんいます。

「NPOはやりがいはあるけど、小さくて給料も少なく不安定」というのは、当てはまる部分もありつつも、一般的な傾向だけを見てNPO業界に飛び込むか否かを判断するよりは、組織ごとの違いに目を向ける方が有効です。

たとえば、団体の会計報告や従業員数、設立年を見ることで、団体の規模や継続性を見ることができます。
また、団体の代表や職員の発信内容、具体的な事業を見ることで、職員のモチベーションや意識の違いも見えてきます。
「認定」NPO法人や「公益」社団法人は一定の基準をクリアした団体なので、そうでない団体よりも安定性が高いとも言えます。

NPOでも一般企業であっても組織ごとに大きく異なるので、就職先の組織の安定性に依存しすぎない心構えで、自身のスキルアップや個人事業主としてやっていける力を身に付ける意識である方が、逆にキャリアの安定性を増すこともできます。

NPO/NGOに就職する流れ

それでは、ここからは実際にNPOなどに就職したいとなった時の流れについて紹介します。

まず、NPOで働くのにどれほどの要件が求められているかは、募集案件によって全く違います。
たとえば、福祉関連の現場で対象者と関わる仕事であれば資格が求められる場合もありますし、マーケティングや人事労務などの職種ではその専門性が求められます

学歴自体が求められるような基準はあまりありませんが、大企業からの転職組も多かったり、国際協力分野では院卒の人も多かったりなど、一般で持たれているイメージよりも学歴は高いかもしれません。

就職活動の流れ自体は、エントリー→書類選考→面接のプロセスがある面は企業と違いはないのですが、NPO業界の就職サイトがあったり、また人づての採用やボランティア経験から採用にいたるケースもあったりと、特殊な面もあります。

1)就職先探し(選び方)

まずは、NPO関連の採用サイトにてどのような仕事があるか見てみましょう。

「社会課題」の種類で分類され検索をかけることができるため、自分の関心があるいくつかの分野を見てみることがおすすめです。
「新卒採用」の案件も多くはないですが存在しています。
注意点としては、このようなサイトには「ボランティア」や「インターン」も多く含まれているので、どのような応募かはしっかりとチェックしてください
その後のプロセスは、そのサイトなどで示されている通りに進みます。

どのような採用案件が出ているかや、それが自分の関心や経験に合うかどうかは、タイミングにも大きく左右されます。
上記サイトなどで探してもすぐには見つからないかもしれませんが、少し長い目線を持って探し続けるとイメージ以上の採用案件が出てくることもあるので、ぜひ根気よく探してください。

NPOの中にはこのような求人に出さずに、自団体のHPやメルマガ、SNSなどで求人を出したり、人づてで採用を決める場合もあるため、気になる社会課題分野(子ども支援、環境など)のNPOはフォローするようにしてください。

2)団体訪問

面接で団体を訪問する部分は企業と同じですが、一般企業に比べて中途採用でも説明会の機会が設けられている印象があります。
一般企業よりもイメージがわきづらいことから、団体のミッションや活動を理解してもらうことでミスマッチを防ぐためと思われます。
団体によってはそれまで団体と接点がない応募者であれば、現場の活動などに一定期間参加してもらうことを依頼される場合もあります。

もし特に気になる団体があれば、人材募集案件がない時点からでもボランティアやインターンとして参加するなどしてその団体と近づいておくことがおすすめです。
人材を募集していない場合でも、良い働きをしたり関係性が築けたりすることで、有給職員として誘われることもあります。

その他、関心分野でのセミナーやイベントには積極的に参加し、人との繋がりを作っておくことで情報が入ってきたり、誘ってもらえたりする可能性もあります。
ぜひ、意識してみてください。

3)採用面接

採用面接の形式は一般企業と違いはないと思いますが、聞かれる内容としてはより団体へのミッションや活動への共感が分かるようなものが多いです。
たとえば、その社会課題に関してどのように考えるか、自分はどのように関わってきたか、どのように解決していきたいかなどです。
もちろん想いだけではなく、それを実現できるかの能力、スキルや専門性も問われますが中途採用でも未経験可の案件も多いので、ぜひチャレンジしてみてください。

NPO法人の就職活動も、一般企業の就職活動とほぼ同じ流れになりますが、通常採用以外のルートも多いこと、また団体(のミッションなど)との相性が問われることが少し異なっています。

NPO/NGOに就職するときの注意点

NPO等に就職する際の注意点やしておくべきことは、企業への就職とそれほど変わりません。
その分野についての理解を出来る範囲で深めておき、自身が何を出来るか、何をしたいかを考えるということです。

採用時:出来る範囲でインプットしておく

応募するNPOにおいて、取り組んでいる社会課題について書籍やウェブ上の情報を仕入れておき、社会動向や共通認識をインプットしておくといいかと思います。
情報を整理したうえで、自分はなぜそれに取り組みたいのか、何を課題だと思っていてどうなることが理想なのか、自分はどのようにそこに関わりたいのか
それらを深掘りすることが自己分析にもなり、記載する志望動機にもなります。
そのような基本情報は働くうえでも基本知識になります。

就職前:意識を少しスイッチしておく

主体性が求められるのは企業と変わりません。
ただし大企業など、研修が整っていた企業や上司や先輩に懇切丁寧に仕事を教えてもらっていた場合、また自分の業務が常に指示をされた中で対応してきた場合などは少し意識を変える必要があるかもしれません。
NPOによっては、日々現場のニーズで求められることが変わったり、企業ほど分業されておらず様々な業務をカバーしたりする必要がある場合もあります。

基本的には、業務として何をどのように取り組むかに対して、自分で考えて取り組み、必要な場合は自分から質問や勉強をして情報を取りにいくという姿勢を求めている団体が多い印象です。

就職後:団体(の皆さん)の考えを理解し、尊重する

主体性は重要ですが、同時に協調性も求められます。
たとえば、前職の会社がそうだったからと言ってやり方を押し通すのではなく、提案・相談をしながら進める姿勢があると好まれます。
多くではありませんが、NPOが企業よりも劣っていると考える人も時々おり、相手の状況への理解や、尊重のないままにやり方を変えようとしてしまい、上手くいかない例もあります。

NPOでも企業でも関係なく、新しい組織に入った時にはがっかりする面もあるかと思いますが、本当の意味でより良く改善していくためには、相手を理解してじっくり取り組む方が効果的かもしれません。

社会貢献したい!NPO/NGO以外の選択肢

今回の記事では、NPOなどの非営利団体への就職について取り上げましたが、キャリアとしては「NPOへ就職するかしないか」の2択以外にも選択肢があります。

たとえば…

  • 企業に勤めながら副業やボランティア(プロボノ)としてNPOに関わる
  • 社会貢献度の高い企業に勤める
  • 企業のCSRやサステナビリティなどの部署に就職する
  • 今働いている企業で社会課題を解決する事業を提案する/今の業務をより社会的にしていく(たとえば、環境に優しい商品づくりなどたくさん方法はあります)
  • (新卒の方は)一般企業で修行して何年後かにNPOに転職する

いかがでしたでしょうか?

NPOなどの非営利団体で働くことは、平均的な条件だけを見ると一般企業に比べて見劣りするように思うかもしれません。
それでも、たくさんの人が働き、生計を立て、キャリアを築いています。
私自身も企業経験とNPO経験どちらも行き来し、それぞれメリット・デメリットがあるものの「経験して良かった」という想いでいます。

そのNPOでの経験を通して得られた専門性や考え方、スキルがあり、それがその後や今に繋がっているからです。
キャリアの目的なども様々でしょうから、ぜひご自分の進みたい道や大切にしたいことを考えながら、焦らず長期的にでもNPOキャリアを検討いただければ嬉しいです。

この記事を書いた人
牛堂 望美

人材系のベンチャー企業、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、金融機関でのCSR/サステナビリティ担当などを経験。NPOを支援する中間支援業務に携わり、多くのNPOと接してきました。NPOと企業の両方での社会貢献業務の経験も活かして、社会貢献を仕事にしたい方への情報発信やご相談にものってきました。社会貢献を仕事にしたい方たちへ、多様な関わり方があること、自分に合った関わり方があることをお伝えしたいと思っています。

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