支援者の心を一瞬で打ち抜く、キャッチコピーの“鉄板”5パターン

2017
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オンラインで寄付を募るとき、その成否を握る大事な役割を果たすのが「キャッチコピー」。たとえばランディングページ(LP)や広告では、キャッチコピーを変更しただけで、寄付をしてもらえる確率(コンバージョン率)が1.5倍程度に高まることもあります。キャッチコピーの失敗パターンと、5つの典型的なパターンをまとめました。

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目次

なぜ「寄付が集まらない」キャッチコピーをつくってしまうのか?

ある国際協力のNPO法人さんがオンラインからの寄付獲得に挑戦されるということで、コンサルティングのご支援をしていた時のこと。

ランディングページ(LP)のキャッチコピーをご担当者の方に作成してもらったのですが、できた4パターンとも「ダメ出し」をしてしまったことがありました。

守秘義務などのため具体的なことは書けませんが、いずれのコピーも「子どもの未来を支える」や「夢をかなえる」など活動の趣旨や想いを表していて、一個人としてはとても共感できる素敵な言葉に思えました。

ところが、寄付というアクションを促すためのキャッチコピーとしては、“訴求力が弱い”ように感じられたのです。

キャッチコピーと聞くと、あなたはどんなイメージを抱きますか?

有名なコピーで言うと「そうだ、京都へ行こう」(JR東海)や「キレイなお姉さんは、好きですか?」(現パナソニック)、「まずい、もう一杯」(キューサイ)など。
かつてテレビCMや電車のポスター等で頻繁に露出していたので、ご覧になったことがある方もいらっしゃるはずです。

私はいずれのコピーについても、テレビで流れていた映像や音楽とともに覚えています。
ドキドキしたり懐かしくなったり、思わずニンマリしたりといった感情も合わせて、広告に触れた記憶が蘇ります。

広告をきっかけに、企業や商品に対して良いイメージを持つようになった方も多いでしょう。
このように企業のブランドやイメージを高めるために発信される広告を、「イメージ広告」または「ブランディング広告」と言います。

コピーによってどれだけの売上が生まれたか?を検証する

一方、これらの素敵なコピーに影響されて、商品を「買った」方が、どれくらいいるでしょう?

正解は、「分からない」。
店舗で販売されている商品や、テレビなどオフラインの広告媒体については、売上への効果を測定しにくいからです。
(詳しくご興味ある方は、この記事をご参照ください。)

つまり、イメージ広告やブランディング広告については、それぞれのキャッチコピーが売上に貢献しているか?投資に見合った効果を上げているのか?を検証できないのです。

一方、通信販売やECなど広告の効果がはっきりと測定できる業態では、さまざまなキャッチコピーがテストされてきました。

売るために有効なのは、どんなコピーでしょうか?
イメージ広告で例に挙がっていた美容関連では、たとえば「週2回以上お化粧が面倒くさいと思う女性の皆さまへ」(オールインワン化粧品)と言われると、ターゲットの方なら思わず目が留まってしまいますね。

有名なライザップの広告では、有名人が痩せるのに成功したBefore-Afterの写真とともに、「たった2ヶ月で、このカラダ」とうたっています。
ダイエットに関心のある方なら、心がぐらついてしまうでしょう。

このように商品の購入や問合せなどダイレクトな反応を得るために展開される広告を、「レスポンス広告」と呼びます。
決して洗練された印象は受けないですが、「欲しい!」「買いたい」という気持ちをそそるように設計されたうえで、効果が良かったキャッチコピーだけが残されているのです。

イメージ広告 VS レスポンス広告、ファンドレイジングにはどちらが有効?

ファンドレイジングにおいては、イメージ(ブランディング)広告型とレスポンス広告型のどちらが有効でしょうか?

「オンラインで寄付を獲得する」「その費用対効果を数字で検証する」「PDCAを継続的に回していく」などを重視するなら、レスポンス広告型の原則にもとづいてキャッチコピーを作るのが賢明でしょう。

世の中の多くの方々は「何か、世の中にいいことをしたい」とは思っているはずです。

数多くのNGO/NPOから募金のメッセージは寄せられても、日々の生活が忙しかったり、自分には遠い世界の出来事に感じてしまい、結局スルーされてしまいます。

冒頭のケースで、なぜ私が「このコピーでは、寄付は集まらない」と判断したのか?

その理由は、レスポンス広告型のマーケティングの知見をもとに、寄付を募るためのLPや広告でも、何十回何百回とテストを行ってきたから。

心の奥で善意や貢献欲求を眠らせている方々の注目を一瞬で引き寄せ、「放っておけない!」「私が助けなければ」と感じてもらうのが、キャッチコピーの役割です。

つまりファンドレイジングでは、泥臭くとも心を揺さぶり行動を引き出す「レスポンス広告型」のキャッチコピーをつくる必要があるのです。

国際NGOの事例から見る、キャッチコピーの鉄板5パターン

では、あなたの団体で「支援者の心を撃ち抜く」キャッチコピーを作るには、どうすればよいでしょうか?

最も成功確率が高いのは、過去の事例にならうこと。
私はNGO・NPOのLPや広告、DM・ニュースレターなどを過去5年間以上、大量にストックしてきました。

この記事を書くにあたって見直してみたところ、大まかに5パターンくらいに分類できることが分かりました。
ここでは、マーケティングに継続的かつ熱心に取り組まれてきた跡が伺える、大手国際NGOの事例を中心に見ていきましょう。

A.かわいそう訴求

支援活動の受益者が置かれている、「かわいそう」な状況を伝えるコピーです。
課題の深刻さを実感してもらうために、現地での様子をリアルに描写したり、「自分ごと」として身近に捉えてもらうようにしたりなど、表現を工夫します。

(例)

  • 「どんなに汚くても、この水を飲むしかない・・」
  • 「13歳で結婚。14歳で出産。恋はまだ知らない。」

B. 緊急性訴求

Aのような深刻な状況を提示したうえで、「すぐに助けないと、まずい事態になってしまう」と呼びかけます。
「期限」や「時間」など具体的な数字を入れると実感してもらいやすいでしょう。
そもそも課題が分かりやすい活動に向いていますし、課題の提示はビジュアルやサブコピーで補完するケースが多いようです。

(例)

  • 「小さなボラトニアには数時間しかありません」
  • 「5秒に1人。今また小さな命が消える。」

C. 「助けたい」訴求

「●●な子どもたちに、▲▲を届けたい」といった形式で、寄付で実現したいことや購入したいモノなどを具体的に挙げます。
寄付の使途や支援対象の人数などが、明確である活動に向いています。
(そうでない場合も、表現の工夫でイメージをしてもらうこともできます。)

(例)

  • 「クリスマスまでに、3000人の子どもを救いたい」
  • 「アジアの子どもたちに本を届けるために、アジアの図書館サポーターになってください」

D. 「この子を」訴求

活動や団体についてではなく、特定の受益者の名前を挙げて支援を呼びかけます。
抽象的より具体的、統計データよりエピソードの方が寄付にはつながりやすいことが知られています。

(例)

  • 「栄養不良から小さな命を守る。食糧危機のただなかに生まれた1歳のマルセリーノを救ったものは・・」
  • 「アニンちゃん 7歳。今日を生きるため 懸命にゴミを集めます」

E.手軽さ訴求

「1日●円」「1,000円」など小さな額の支援で、大きな効果があると伝えるパターンも見られます。

(例)

  • 「1日あたり150円の支援で、子どもたちの未来が変わります。チャイルドスポンサーになってください」
  • 「1日50円から世界の子ども達を救えます」

分かりやすくシンプルに5つのパターンに分けましたが、複数の訴求を組み合わせたり、キャッチコピーとサブコピーで別々の訴求を取り入れたりするケースも見られます。

この他にも、他にも夢や目標などポジティブな未来を挙げて、「実現に向けて頑張るのを応援してほしい」という訴求も、クラウドファンディングなどではよく見られますね。

これらのパターンをベースとしながらも、受益者の声や具体的な状況描写、数字を入れるなど、表現方法を考えると良いでしょう。

ご支援者が「心を動かされた言葉」など、アンテナを立てる

今回は、ファンドレイジングで活用されているキャッチコピーを、パターン化してご紹介しました。
ですが、これらをすぐに「マネをしよう」と思っても、手っ取り早く取り入れられるものではないでしょう。

なぜなら団体によって、活動内容も支援者層もそれぞれ異なるので、ある団体でずっと使われているコピーが、あなたの団体でも有効に機能するとは限らないからです。
(当然ですがモラルや著作権などの理由で、そのままマネしてはいけないことは、読者の方ならご存知のことと認識しています。)

私がキャッチコピーをつくるときに手がかりとするのは、支援者やスタッフ、受益者の方などが話していた言葉。
たとえば支援者が心を動かされた言葉や寄付を決めた理由としてよく聞くエピソードなどをそのままキャッチコピーに取り入れると、コンバージョン率がアップしたことが何度かありました。

事業の現場で出会った衝撃的な課題や、受益者が支援によって立ち直った事例、スタッフの方が事業を始めた想いなど。
これらに注意深くアンテナを立てて、ぜひ日頃から情報収集をしてみてください。

1つの優秀なキャッチコピーによって、ファンドレイジングの反響がまったく変わってくることは往々にしてあります。
あなたの団体ならではの、「支援者の心を撃ち抜く」「行動を変える」コピーづくり、ぜひトライしてみてください。

この記事を書いた人
山内 悠太
ファンドレイジング・コンサルタント

1982年生れ。東京大学教養学部卒。大手メーカー(三洋電機)・広告代理店(ファインドスター)・教育NPO(認定NPO法人カタリバ)を経て、2014年に独立。
現在は「ファンドレイジング」と呼ばれる非営利団体の寄付募集を、コンサルタントとして支援しています。

マーケティング戦略の策定から「マンスリーサポーター」はじめ個人寄付収入の拡大、オペレーションのデジタル化まで、NPO・NGOや大学など10団体以上をサポートしてきました。

元々は「ダイレクトマーケティング」と呼ばれる分野で、広告やCRMの仕事を手がけてきました。
今もD2C(EC通販)やサブスクリプションなど業界にも携わり、その知見を非営利セクターに応用しています。

「非営利セクターで働く人、働きたい人のキャリアや学習を応援したい」という思いから、2022年にFunDio(ファンディオ)を立ち上げ。
「社会貢献の仕事をしたい」「NPOで働きたい」といった方には、キャリア相談にも乗らせてもらっています。

生まれ育った東京を8年前に離れ、湘南の自宅で仕事をしています。
7歳の娘の父。ラグビーやランニングなど体を動かすこと、本を読むことが好きです。

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